大阪地方裁判所 昭和43年(行ク)95号 決定
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〔決定理由〕二、当裁判所の判断
(一) 本件疎明によれば申立人は韓国に国籍を有する外国人で、同国慶尚南道河東郡良甫面甘堂里一〇〇番地に本籍を有し、右本籍地において出生、成育したものであるが、昭和三八年三月中頃、それまで居住していた右本籍地から家族をたよつて本邦に密入国し、近畿大学に在学中であつたところ、昭和四三年五月二一日被申立人より出入国管理令第二四条第一号に該当するものとして同令第五一条により送還先を韓国とする退去強制令書の発付を受け、同令第五二条第五項により現在肩書大村入国者収容所に収容されているが、同年一二月二三日出航の船舶で韓国へ送還されることが予定されている事実が認められる。
(二) 右認定事実によれば、申立人は、本邦に密入国したものであるから出入国管理令第二四条第一号に該当することは明らかであり、被申立人から退去強制処分を受けることは止むを得ないといわなければならない。被申立人は、送還先を韓国と指定した点において本件退去強制処分は違法、無効であると主張し、その理由として、現在朝鮮半島には二個の政府が存在し、いずれの政府も朝鮮半島全体を統治する国家であると主張しているので、このような場合日本政府は朝鮮半島に居住するものの国籍をそのいずれであると指定することはできない旨主張するが、韓国に国籍を有し、韓国政府の支配している地域に本籍を有するとともに、右本籍において出生、成育したものの送還先を韓国と指定した本件退去強制処分は出入国管理令第五三条第一項に照らし適法と認められるから、本件申立は、行政事件訴訟法第二五条第三項にいう本案について理由がないとみえるときに該当するものというべきである。(仲江利政 藤井俊彦 小杉丈夫)